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2010年05月 アーカイブ

2010年05月19日

それでも人は街で生きていかねば

今日、久しぶりでHPの近刊案内をアップした。一気に6本。スカスカになっていたので、近刊予定がないのかしらと、心配される向きもあったようだが、単純に時間がとれなくてアップできなかったのです。まだまだアップするものあるのですが、刊行が追いつかないのではお話にならないので、またそのうちに。

さてアップした中の一本、『知的障害者が入所施設ではなく地域で生きていくための本』は、長らく品切れとなっていてお問い合わせの多かった、2007年小社刊の『知的障害者が入所施設ではなく地域で暮らすための本』を増補改訂してあらたに新刊として、出版するもの。以下は、今回の刊行にあたって、「はじめに」に加えられた文章です。

「2009年、私たちの仲間でこの本にものっている2名の女性の方が、若くして亡くなられました。今現在、まだ私たちの支援の失敗について、明確な整理をすることができていません。この本の出版を見送ることも考えましたが、これから自立生活をしようとしている方は後を絶たず、また、現在自立生活をしている仲間に対しても同じ失敗をくりかえさないためにも、制度の変更とあわせて、現段階で出きる限りの改訂を行ないました。読んで下さった方からのご意見をいただければ幸いです。」

仲間の死という厳しい現実があり総括も未だしという状況で、この間、重版は実現にいたりませんでした。ただ、地域で生きていこう自立生活をしようという人たちは待ったなしでもあり、著者のピープルファースト東久留米の皆さんは、「支援の失敗とこれから」という整理は未だつかないながらも真摯に状況と向き合った新章を書き加え、世に問うて下さることになりました。

「それみろ、だから施設に置いて保護しとけばいいんだ」の声が今にも聞こえてきそうです。でもそうではない、やっぱり施設は出て街で生きていく、それは譲れない。「暮らすため」から「生きていくため」にタイトルは変りました。そこに込められた意味もまた大きいように思います。

本は月曜校了、来月5日〜6日の京都ピープルファースト全国大会がお披露目となります。重たい課題もしょった本になりますが、是非にも読んでいただきたいと思っています。

2010年05月27日

「非現実的」という言い方が見失わせるもの

朝日の朝刊を読んだ。内田樹さんがネットで非難されたというのは知らなかったが、「全基地撤去」は、東浩紀さんおっしゃるように、最も妥当な主張だと思う。訳知り顔で「非現実的」と論難することのほうが、よほど事の本質から人を遠ざけることに力を貸している。

不勉強のせいかもしれないが、なぜグアムなら良いのかが、私にはさっぱり分からない。かの地の貧困の問題と基地移転の話は、たとえ市長が来日してそれを訴えたからといって、混同されたり、前者を理由として後者が良いとされるものではないだろう。別の事柄として分けて考えられるべきだ。ではないと言うなら根拠を私にも分かりやすく教えてもらいたい。

同じ朝日で今週の月曜、鹿野政直さんが書いておられたが、沖縄の人たちの思いの核心が、移転・移設ではなく撤去・閉鎖にあるとすれば、なすべきは「非現実的」な話を、現実の議論の俎上にのせるために頭を悩ませ努力することなのではないかと思う。

せっかく割って出るんなら、せめて社民党には「移転ではなく撤去を」ぐらい言っていただきたいものだ。

今日は別のイヤなニュースもあった。自立支援法が、つなぎ「改正」されるという。廃止するのになぜ名前残してつなぐのかが、そもそも分からない。ヤバイなこれはと思うのは当たり前で、結局、1次意見書案が出たばかりの制度改革推進会議での議論も、「現実はなかなか」とかいってのらくら受け流され、気がつけば何も変らずって、そんなことはないと思うけれど、とても心配かつ、やな気分だ。

「きれいごと」などと揶揄されようがなんだろうが、理念はやっぱり大事。

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