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2010年03月 アーカイブ

2010年03月11日

我はいかにして加齢を感ぜしか――年度末近況報告

某月某日 久しぶりでほぼ徹夜に近い校正作業。自宅の灯りでは老眼鏡がいまひとつ効かない。おまけに花粉の季節でもあり、目ショボ、鼻グジュの状態でちり紙を抱えつつの仕事となる[年を感じる]。「カンテツな女」が、過労死を考える会から批判を受けていたっけななどと、あまり関係ないことを頭に浮かべながら、朝飯抜きで仕事を続け、昼前、会社の近くの吉野家で牛丼を食う。なんだかこういう時は牛丼が良いように思う。そういえば昨晩も終電間際、同じ店で牛皿とお新香でビールを流し込んでから、家に帰って仕事を続けたのであった。

某月某日 西倉実季さん『顔にあざのある女性たち』の山川菊栄賞受賞式に、いつもの如く本をダンボールに詰めてキャリーで転がして出かける。北教組の話はまだ出ていなかったと思うが、会場は日本教育会館。私にとっての最寄駅はJR水道橋ということになるのだが、この駅の西口にはエレベーターもエスカレーターもなく、揚げ降ろしがきつい[年を感じる]。西倉さんのスピーチは先行研究(とりわけフェミニズムにおける)に敬意を表しつつも、それらが見落としてきた事柄への視角の重要さも提示して、見事なものだった。おかげさまで、雨まじりの中そう多くはなかった参加者だったが、本もけっこう売れた。西倉さんあらためて本当におめでとうございました。

某月某日 夜中、また省悟さんの『心の旅』を聴く。DISC2に坂庭ファンならご存知の「松原第七中学校校歌」が入っているのだが(ちなみにこの中学校のHPでもこの校歌のメロディーが聴ける。解放教育・多文化教育にも熱心な学校らしくなかなか面白いHPである)、これはライブ音源で、まず省悟さんがこの校歌を依頼を受けて作った経緯などを話して、その後フルコーラスで歌い、またMCとなって、曲が出来たころ一度学校に招かれて、ブンチャカ、ブラスバンドで子どもたちが歌うのを聴いて嬉しかったという話をし、それがフェードアウトしていくのにかぶせて、実際の松原七中の子どもたちによるブラバンの演奏が入ってくるのである。もちろんそれは省悟さんが今はもういないということと関わってのものではあるのだが、何度聴いてもこのくだりで鼻の奥がツーンとなる[年を感じる]。文脈はまったく違うが、RCの『シングルマン』で、「甲州街道〜」と「 スローバラード」を続けて聴くときもやはり鼻の奥がむずがゆくなる。単独で聴くのと違う何かってやはりあり、それはネットやら携帯やらでバラバラに曲を買っていたんじゃ分からない(と思う)。

本日 新聞で宇都宮健児さんが日弁連の会長に選ばれたことを知る。ときどきは真っ当なことや、ましなこともおきるので、そうあきらめたものでもないなと思い、仕事に戻る。

2010年03月29日

長生きも運動のうち――安積遊歩さん

「長生きも芸のうち」とよく言っていながら、一度絶句するともう2度と高座へは戻らなかったのは先代の桂文楽で、志ん生が悠々とあるいは平然と、倒れてからも高座へ上がり続けたのと、よく比較して語られるのだが、「長生きも運動」と言って柔らかくかつ厳しく自分を律する骨の髄からの活動家もいる。

先日、安積遊歩さんに7年ぶりぐらいでお会いした。ご紹介していただいたある企画のご相談だったのだが、開口一番(もちろん太っている人を蔑視するなどということでは全くなくという前提をおっしゃった上で)、「太ったんじゃない」「顔が酒やけしている」という話となり、自分自身が「生きる」ということをきちんと考えられないようではダメだと「お叱り」を受ける。4つぐらい上の同郷の先輩に、お互いまったく抜けない福島イントネーションで言われると少し真面目になるが、酒は週1回か2回にせよと言われても、1回も抜けないほうの私としては「はい」と約束するのは憚られ、体の調子が悪いだのジャンクフードネタだのばかりを書いている私のブログなど、読んでないだろうなとありそうもないことでヒヤヒヤするのがせいぜいなのだが、でもご心配いただくのはありがたい。

安積さんは確かに7年前にお会いしたときよりもかえって肌ツヤが良いぐらいで、環境問題を大きなテーマの一つにし、安全な食べ物をとることに留意されているということはもちろんあるのだろうが、何より近著の 『いのちに贈る超自立論』 のあとがきで、「障害をもつ自分が長生きをすることこそが、最強の社会変革であると信じてきた。社会に迷惑な存在、あってはならない存在と位置づけられてきた私たちが、長生きをすることをとおしてこの社会に価値観の変革を迫りつづけるのだ」と書き、多くの障害をもった友人たちの早世に立ち会ってきた、安積さんの信念ともいうべき思いなのだろう。

少しひねくれていて、昔、「金持ちしか安全なものは食えない」とあることで実感してから、(それまではたいそう信奉していたくせに)エコロジカルなものの考え方や事柄をやや胡乱なものと思ってしまうところがある私には、少し意見を異にするところもあるのだが、安積さんの首尾一貫さ、ほれぼれすると言ってもいい「活動家」振りには、拍手を送るしかない。お会いした折いただいた前掲の近著、「宣伝してね」と言われたのだが、こんな誰も読んでいないようなブログでリンクを貼ってみるぐらいしか出来ない。お許しを!

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