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たいやきのしっぽのあんこ

とても少ないであろう、このブログの読者の中でも、編集部Nの「少し気になる本」を、楽しみにしている人のほうが殆どだと思うのですが、本は読んでいるし、ネタはあるけれど、ブログにアップする時間が全くとれない、と言っております。5月から6月にかけて下ろさなくてはならない、ゲラや原稿が集中していて、身動きがとれなくなっているのは事実です。いくらなんでも来週は書くと思いますので、しょーもない方が3回連続かよという嘆きは無視して進めさせていただきます。

一週前の土曜は千葉で出版記念会をもつことが出来ました。本当に小社を一番支えてくださっている方の、出版を祝う集いでしたので、私自身も感無量でした。遠く沖縄の地から荒波こえて先生自身が運んできた泡盛をみんなで酌み交わす、そんな夜でした。

今週は4月2日刊行予定の『定年@マネー』が校了となりました。年間を通して一番印刷製本が込み合う時期です。何とか工場を押さえてもらって、4月の頭の出来を確保しました。6日から7日にかけて書店店頭に並ぶことになると思います。定年を迎える方以外でも参考になる情報が一杯です。どうぞ、店頭でご覧下さい。

4月はもう一本、木村晴美さんの『日本手話とろう文化』を刊行します。ご存知の通り、1995年の「ろう文化宣言」で、私たちにとても大きな影響を与えた木村さんですが、今回の単著は木村さんご自身がブログのメルマガ形式で発信されてきた、日本手話・ろう文化・ろう教育に関する論考を、再構成し一冊の本に編んだものです。いまだに根強い、ろう者の言語=日本手話に対する誤解や蔑視(裏返しのおかしなシムコム信仰)、口話教育がろう者に与えてきた暗くて長い抑圧の歴史、ろう文化という異文化を理解しようとしない聴者の傲慢さなどなど、木村さんのものの見方、考え方のエッセンスが、ぎっしりと詰まった、ユーモアたっぷりだけど、かなりきついスパイスも振りかけてある、読み手の襟がピッと正されるような本です。ご期待下さい。ゴールデンウィーク前に、皆さんにお届けできるよう、木村さんも小社も最後の仕上げを頑張っています。

というわけで今週も多忙ではありましたが、4月のラインアップのめどがほぼついたお祝いに、昨日は四ツ谷で一番行列が出来る店に並んで、おやつを買って、土曜だというのに全員仕事に出てきた3人で午後の一休みをしました。

その、おやつが、わかばのたいやきです。一個126円が、高いのか安いのかはわかりませんが、皮が美味しいのは間違いありません。昔、安藤鶴夫さんのエッセイで「たいやきのしっぽのあんこ」を書いたものがあったのを思い出しました。確か、餡がしっぽまで入っていることで人気が出ているという、たいやき屋さんの話に、それは半可通の物言いで、餡で甘くなりすぎた口を最後にかりっとしたしっぽで、さっぱりさせる、だから、しっぽに餡が入ってちゃダメだと別のたいやき屋さんの親父が言ったとか、そんな話だったような気がします。

はじめての決算が近づいていますが、委託の精算すらまだ一本もなく(ようやく6月に最初の一本の請求期がきます)、もちろん利益など出ようはずはありません。今が一番、こらえ時、歯を食いしばる時かもしれません。126円のたい焼きをかみ締めながら、明日を信じてという、なにやら安手の青春ドラマのような四ツ谷の午後ではありました。

PS:わかばのたいやきは、どちらかといえばしっぽサッパリ系。しっかりと甘いつぶ餡ですので、漉し餡派の方は、はなからおやめになったほうがいいでしょう。

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2007年03月25日 12:36に投稿されたエントリーのページです。

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