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2008年01月 アーカイブ

2008年01月09日

2年目の年のはじめに 

いろんな方にご無沙汰している。
横浜で月一度開催されている素敵な勉強会があって(まったく門外漢の領域なのだが、だからこそとても楽しい)、出かけたいのだが、秋口からずっと学会や集会と重なって参加できていない。

あまりきちんとしかも量も、直接の目の前の仕事に関わるもの以外の書き物を読めていない。書くためには読まなければならないというのは、書き手の方々が当然おっしゃることだが、版元の人間も企画を立てるためには、大量に多種の書き物をもっともっと読まなければならないのだけれど……。
映画館にはいつ以来か、寄席も去年はKさんと行った一度きりだったかしらん。音楽のライヴだけにはそこそこいけたか。酒は呑んでいる、したがって痩せない。
景気のいい話もあまりない。

それでも、少人数の版元がいいと思う。やせ我慢にしか聞こえないかも知れないが、少なくとも嫌なことを嫌々引き受けて、愛想笑いをしながら内心ではとても嫌なのにやっつける、といったことはやらなくて良いし、人のせいにして居直ったりしなくて良い。それなりに食べられたら(これが難しいのだが)、こんなに気分のいい商売もないなと、存外暢気に考えている。

さて今年は……。

最近さっぱりブログを書かなくなり、知的な刺激を求める向きが「Tのくだらないブログなぞ読みたくない。『気になる本』はどーした」と一部で憤慨している、という噂もあるNの翻訳企画が、いよいよ刊行され始めます。2月ぐらいから本格的な告知に入っていきますので、乞うご期待。

1月末から2月にかけては、ろう教育、手話に関する新刊が2点出ます。一つは佐々木倫子さん監修・全国ろう児をもつ親の会編の『バイリンガルろう教育』、今年は、日本で初めての「手話」と「書記日本語」の「バイリンガルろう教育」を行う明晴学園の開校の年ですが、本書はその理論的なバックボーンとなるものです。もう一点は、全通研宮城支部企画・田門浩弁護士監修の『手話と法律・裁判ハンドブック』、裁判員制度が導入される中、司法の場でろう者の権利を守るためにもとても大事な、初めての法律や裁判に関わる手話の本です。田門弁護士も手話単語担当の木村晴美さんもろう者、手話通訳者も必携の本だと思います。詳しくはHPの近刊案内をご覧下さい。

その他、去年からお待たせしているあの本もこの本も、そして新企画も、いっぺんにたくさんというわけにはもちろん行きませんが、確実にお届けできるように、倦まず弛まず、どんな気持ちで立ち上げたのかをいつも思い起こしながら、日々仕事をしていこうと思います。

今年もヨロシク!お願いします。

2008年01月26日

そんなに簡単な話じゃない

障害者を「障がい者」にして、そりゃあ真面目に考えていますよという行政、「○○を武器として前進しよう」と誰かがいったとして、その「武器」という言葉だけを文脈を無視して取り出し、槍玉に挙げる「平和」派……もちろんあまり乱暴にいうつもりはないし、変な居直りは厳に戒めるべきだけれど、そうした態度はかえって思考停止や問題の棚上げに力を貸しているだけではないのかと、やはり思ったりもしてしまう。
もっというなら、例えば、情報保障でルビをつける、それに対して「一応やっとかないと」「それで本当に読まれるなんて甘くは考えていない」という言葉があるとする。これを不謹慎だと簡単に片付けるわけにはいかないのではないか。そうした言葉を語る人は逆に、「それだけでは問題の所在にはたどり着けない」ことを良く自覚していたり、そして誰よりもきちんとルビをつけていたりするからだ。

たてまえ上は反論されにくい正義の御旗を振り立てて、自分だけ気持ちよくなってそこでとどまる人と、やっていることやいっていることの不十分さや、戦術的なものとしてのある種のズルさも自覚した上で、それでもそれだからこそ考え続ける人と、どちらが誠実なあり方かということは……そんなに簡単な話じゃない。

さて、明後日は『手話と法律・裁判ハンドブック』の校了日、本日も事務所にて当然仕事です。お披露目は2月9日の三重・全通研大会ですが、書店店頭には15日ぐらいから並ぶ予定です。是非お読み下さい。使ってください。
 

PS:Kさんと高田渡生誕会59なるコンサートに出かけ、久しぶりに加川良や斉藤哲夫を聞いて満足して帰ってきた。斉藤さんはたった2曲で、そのうち一曲は Don't Think Twice, It's All Right を訳詩で歌ったのだが、これが良かった。誰かが、ボブ・ディランの正統の後継者はニール・ヤングだといっていたような気がするが(しないか。年も四つぐらいしか違わないし)、そのものずばりのAfter The Gold Rush を冠したブログが面白い。渡さんが、フォークゲリラや小田実を痛烈に批判していたことなんかも思い起こしてみると、より面白い。

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