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東日本大震災及び福島原発事故の発生から七年…社会的関心がすでに失われた今だからこそ、震災が、弱者と呼ばれる人びとに与える中長期的な影響を考える!

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土屋葉、岩永理恵、井口高志、田宮遊子
被災経験の聴きとりから考える
東日本大震災後の日常生活と公的支援



A5判並製  264頁   本体2500円(税別)   ISBN978-4-86500-076-4
     (書影拡大
障害のある人たち、介護を抱えた生活、母子世帯、中壮年ひとり暮らしの男性、
生活保護受給世帯、単身の高齢女性たち…
五年間にわたって調査に入り続け、震災以前からあった脆弱性、「被災のその日」、
そして「今の暮らし」のあり様を丹念に聴きとる中から、支援のあり方を考える、
四人の研究者の「共同」の仕事の成果。
災害研究、社会福祉、社会学、障害学、社会保障、貧困研究に関心のある読者必読の書。
 

【目次】

はじめに

 序章  なぜ被災経験の聴きとりに出かけたか──本書の背景と目的 岩永理恵
   1  はじめに──はしがきのような話
   2  どのような調査研究か──本書の位置と意味
       (1)災害研究に対する本書の位置
       (2)震災後の「社会的弱者」に対する中長期的影響に関する研究
       (3)災害研究「専門外」で被災地から遠い私たちが研究する意味
   3  調査研究の概要
       (1)調査研究の対象と方法
       (2)二種類の調査
       (3)調査の経過
   4  聴きとり調査=「被災と生活困窮に関する質的調査」について
   5  本書の構成・各章の要約

第1章 障害者世帯とケア──非常時における福祉サービスのあり方から   土屋 葉
   1  はじめに
   2  事業所および福祉施設が果たした役割
       (1)一時的な避難所としての役割
       (2)施設の混乱・職員の疲弊
       (3)在宅の障害者への対応
   3  恒久的な生活の受け皿としての施設
   4  サービス利用継続を前提とした生活再建のための画策
       (1)「ここから動けない」
       (2)生活基盤を崩したくない
       (3)将来の施設入所を見越して
   5  まとめ

コラム1  「少しの蓄えを崩していく」暮らし   土屋 葉

第2章 介護生活と震災──インフォーマルな資源と住まいの選択に注目して 井口高志
   1  高齢期の介護と震災後の生活
   2  事例記述
       (1)介護に伴う世帯全体への影響
       (2)震災後二人のケア責任者になる
       (3)夫の介護に合わせた転居
       (4)現在の居住地にいることで成り立つ介護生活
       (5)残っている自宅への帰還に悩む生活
   3  介護を抱えた震災後の生活
       (1)外部サービスの硬直性と生活を支えるインフォーマル資源
       (2)資源へのアクセス可能性と住まう場所

コラム2  最後は私たちだけになった   土屋 葉

第3章 母子世帯の仕事──なぜシングルマザーは震災で仕事を失わなかったのか   田宮遊子
   1  母子世帯が被災すること
   2  アンケート調査からみる被災母子世帯の状況
       (1)年間収入、住居の状況
       (2)仕事
   3  聴きとり調査からみる被災シングルマザーの仕事
       (1)聴きとり調査の対象者
       (2)なぜ仕事を継続できたのか?──震災前から勤める働きやすい職場
       (3)人手不足の産業での仕事とキャリアアップ
       (4)被災後の離転職
   4  おわりに

第4章 障害者世帯と生活の立て直し──「しごと」をめぐって   土屋 葉
   1  はじめに
   2  「戻ってはいないが、落ち着いた」──工藤さん
   3  「ここ以外だったらどこに行っても同じ」──小泉さん
   4  「気もち的に楽になった」──堀内さん
   5  「自己決定」と「自立」をとりもどす──武藤さん
   6  まとめ

コラム3  東日本大震災後、県外で生活をしている今   小野和佳

第5章 中壮年ひとり暮らし男性──被災と退職後のくらし  田宮遊子
   1  中壮年ひとり暮らし男性という脆弱性の高いグループへの着目
   2  「二〇一三調査」結果からみる中壮年ひとり暮らし男性の特徴
       (1)不安定な仕事と低所得
       (2)家族とのつながりの弱さ
   3  聴きとり調査結果からみる中壮年ひとり暮らし男性の特徴
       (1)仕事
       (2)頼れる相手の存在と近所づきあい
   4  みえにくい中壮年ひとり暮らし男性の生活問題

コラム4  想定とは異なる語りを聴く   岩永理恵

第6章 被災地の生活保護受給世帯──再認識する不自由   岩永理恵
   1  被災地と生活保護受給の経験
   2  被災地に住む6世帯からみる生活保護
       (1)震災前から生活保護(医療)に支えられる暮らし──車があれば仕事で自立できるのに
       (2)震災前から生活保護受給、通院と介護生活──「切ない」思い
       (3)震災前から断続的に単身で生活保護受給──「やっばり人間というものは気持ちが小さい」
       (4)震災後から生活保護受給──自立生活に向けて
       (5)震災後から生活保護受給──制度利用への高いハードル
       (6)震災後に生活保護廃止──娘の視点から震災後の母について
   3  生活保護と「当たり前の生活」

第7章 単身生活する高齢女性たち──被災後を支える社会関係とその微細な変容   井口高志
   1  単身で生きる高齢女性たち
   2  どのように生き、この先をどのように考えているのか
       (1)娘に迷惑をかけぬように生きる
       (2)娘たちからの支援と親子関係の変容
       (3)親族関係の中で生き、一人で身を処す
       (4)いわきの中で生き、一人の最期を考える
   3  単身の高齢女性たちの語りから見えてくるもの

第8章 脆弱性とリスク──被災者支援と社会保障   田宮遊子
   1  被災後の生活の変化は、災害によるものなのか、他要因によるものなのか
       (1)住居の変化
       (2)仕事の変化
       (3)所得、介護の必要度の変化
   2  被災者への公的支援
   3  おわりに

第9章 仮設住宅で暮らす世帯の悩みのリアリティ──「いわき市内被災者生活状況調査」の自由記述の分析から   井口高志
   1  はじめに
   2  二〇一三年夏から二〇一四年年末にかけてのいわき市の状況
   3  用いるデータと分析の方針
   4  自由記述の全般的な傾向
       (1)自由記述へのラベル付与
       (2)量的に多い記述
       (3)その他のラベル──人間関係と原発に伴う地域問題
   5  記述率の高い悩みの内実はどうなっているのか?
       (1)経済ラベルの中身のバリエーション
       (2)実態と悩みの表出との関連
   6  おわりに

コラム5  個々の自由記述データをどう生かすか?   井口高志

資料1  いわき二〇一三調査と二〇一五追跡調査   田宮遊子
資料2  いわき調査自由記述の基礎的集計   井口高志

おわりに  土屋 葉