はじめに――生活者としての在日朝鮮人
凡例
序 論
1 研究の動機と背景
1-1 動機――在日朝鮮人の将来像をめぐって
1-2 背景――「民族の脱構築論」を超えて
2 本書の目的――在日朝鮮人個人の日常性への着目
2-1 日常における「民族」
2-2 「開かれた共同体」としての「民族」
3 研究姿勢――「ディアスポラ研究」として
第1章 「個人」に立脚し、経験を記述する――〈私〉のポジショナリティと研究方法
1 はじめに
2 〈私〉のポジショナリティ
2-1 〈私〉とは誰か
2-2 「在日朝鮮人」カテゴリーからの脱却
2-3 「個人」への立脚
2-4 秩序を揺るがす「個人」
3 「当事者研究」を超えて
4 「実感」への依拠
5 おわりに
第2章 「ナショナリティの強制力」をめぐる朝鮮籍者の経験と実践
1 はじめに
2 朝鮮籍とは何か――管理体制の変遷と現在
2-1 朝鮮解放後の朝鮮籍者の法的地位
2-2 新在留管理法制にみる朝鮮籍観の変遷
〈コラム1:在日朝鮮人にとっての「国籍」とは――李恢成・金石範論争〉
3 ナショナル・アイデンティティ論導入の有用性
4 朝鮮籍在日朝鮮人青年のナショナル・アイデンティティ
4-1 調査概要
4-2 事例1:成基柱――「個人的抵抗」としての朝鮮籍維持
4-3 事例2:李泰聖――「共和国」をめぐる葛藤
5 考察――個人と集団の関係性
6 おわりに
第3章 「国際結婚」家族による「民族」の実践――歴史性の「継承」と家族の安泰はいかにして「両立」するのか
1 はじめに
2 分析視角――歴史性の「継承」への着目
3 歴史性の「継承」と家族の安泰の両立はいかにして可能となるか
3-1 調査概要
3-2 事例1:洪英甫・大森美沙――「民族」的な家族を目指して
3-3 事例2:具守連・具優子――家庭内における民族の「共存」
4 考察――民族とジェンダーの交差性
5 おわりに
補 遺 「家父長制的民族主義」からの「逃避」とその超克――ある在日朝鮮人青年の「渡韓」を事例として
1 はじめに
〈コラム2:家族と民族〉
2 差別の連鎖はなぜ起こるのか
3 「逃避」と新たな生活圏の構築
3-1 トランスジェンダーとしての新たな生活圏の構築
4 考察――「家父長制的民族主義」を超えて
5 おわりに
第4章 「民族」の語りをめぐる対話の膠着と展開――〈私〉による「ダブル」へのインタビューを事例として
1 はじめに――違和感から出発する
2 〈私〉を記述するという方法
3 「ダブル」の語りの対話性――朴里奈の語りを事例として
3-1 生育環境
3-2 名前の変遷
3-3 「在日朝鮮人」カテゴリーを揺るがす対話性
4 「ダブル」カテゴリーをめぐって
4-1 安田直人の語り――「人は一貫して加害者であり被害者でもある
4-2 カテゴリー化による対話の膠着――「加害・被害」をめぐって
5 おわりに
第5章 対話の生起条件――「名前」をめぐる論争を手がかりに
1 はじめに
2 対話の生起条件――バフチンの対話原理
2-1 ポリフォニー論における対話的な他者との関係
2-2 「権威的な言葉/内的説得力のある言葉」
2-3 バフチン対話論の経験的研究への応用
2-4 「物神化」
3 「パラムの会」と「叙述的自己表現」
3-1 「パラムの会」とは
3-2 「叙述的自己表現」
4 「流儀」と「政治」をめぐる対立と対話
4-1 「本名」をめぐって
4-2 「本名を呼び名乗る」運動と「名前の自己決定権」
5 考察
5-1 流儀か政治か――「叙述的自己表現」の解釈の違い
5-2 対話的発話の発見
6 おわりに
結 論
1 議論の整理
2 民族経験の個人化
3 個人的民族経験
3-1 被差別体験の個人化
3-2 歴史性の個人化
4 「継続」する家父長主義
5 個人化社会における共同性
初出一覧
あとがき
文献